セミナーレポート
テクノロジー活用で実現するHR改革

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2019.01.22
記事・レポート勤怠管理

誠に勝手ながら、「リクナビHRTech 勤怠管理」は、2020年3月16日をもってサービスを終了させていただきます。
長らくのご愛顧、誠にありがとうございました。

■本件に対するお問い合わせ先
リクナビHRTech 勤怠管理 
サポートデスク
time_rikunabihrtech@r.recruit.co.jp

セミナー概要

1月22日(火)、リクルートキャリアは、バックオフィス向けクラウドサービスの開発・運営を手がけるfreeeとの初共催で「HR改革セミナー」を実施しました。
社会保険労務士による「働き方改革の本質」の解説をはじめ、リクルートキャリアが成果を挙げた働き方改革の実践例、HRTechサービスの最新情報をお届けしました。
セミナー内容のダイジェストをご紹介します。

登壇者

  • 湯澤社会保険労務士事務所 代表 湯澤悟氏
  • 株式会社リクルートキャリア アドミニストレーション統括室 人事部 人事企画グループ マネジャー 岡祐也
  • 株式会社リクルートキャリア エージェント事業本部 事業企画統括部 事業推進部 HRテクノロジー推進グループ 西平 玲
  • freee株式会社ミッドマーケット事業部 戦略マーケティング 新村陸氏

第1部 働き方改革の迷子から脱却するために

湯澤社会保険労務士事務所 代表 湯澤 悟 氏

働き方改革への第一歩は「思考の転換」

皆様は、この5つの考えについてどう感じるでしょうか。

  • ●働き方改革の目的は「労働時間の削減」だ
  • ●働き方改革の一丁目一番地の施策は「長時間労働の是正」だ
  • ●コンプライアンスとは「法令順守」のことだ
  • ●ダイバーシティは、まず、相手を理解することから始めるものだ
  • ●パワーハラスメント対策は、管理職が優しい指導をすることだ

「これらの考え方はすべて誤り」だと、湯澤悟氏は指摘します。
「『えっ?』と思った方は、働き方改革の本質を捉えられておらず、そのまま進むと落とし穴に落ちるかもしれない」と警鐘を鳴らしました。

社会保険労務士として「人と組織のコミュニケーションエラー」を起点とする高難度労務問題に取り組み、1万6000件以上を手がけてきた湯澤氏。

「働き方改革に取り組む皆さんは、まずこの言葉を意識していただきたいと思います。『今までと同じ考えや 行動を繰り返して異なる結果を期待するのを狂気という』。アルバート・アインシュタインの言葉です。思考を変えなければ行動は変わりません。ここに挙げた項目のような思考では、表面的には労務改善を成し遂げたように見えても本質的な問題は解決しません。」

目的(ゴール)を設定しなければ改革は成し得ない

湯澤氏は「働き方改革に取り組むも、迷子になっている企業が多い」と言います。
迷子になる理由は、行き先・現在地・行き方が不明だから。
「つまり全体図を持っていないのです。知らない土地を地図も持たずにただ歩き回っているのと同じ状態。特に『目的』を設定していない企業があまりに多い。私が見るに、とりあえず労働時間の削減から手をつけている会社が軒並み苦労しています。単に労働時間を抑制すれば、手抜き、コンプライアンス違反、データ改ざんなどの不正などが発生してくる。かといって下請けに出しても、下請けの労働時間も労基署から監視され、問題があれば発注元に調査が及ぶ。そうなるのも目的が明確になっていないためです。」

目的を明確にするためにも、働き方改革の本質を理解することが重要というのが、今回の湯澤氏の講演のメッセージなのです。
そこで、目的の再確認のために、湯澤氏からガイドラインとして提示されたのが、厚生労働省の「働き方改革実行計画」です。

「働き方改革実行計画には11のテーマがあります。そのうち、一番に置かれているテーマは『非正規雇用の処遇改善』です。冒頭の問いかけで取り上げた、『長時間労働の是正』ではありません。行政が働き方改革に舵を切った根本的理由、それは『人権問題への取り組み』です。つまり人を人として大切にするということ。昭和48年に発行された『労務管理の着眼点』という書にも記されていますが、労務管理の原理原則とは『経営の効率化の追求』と『人間性の尊重の追求』、この2つを調和させ併存させることです。この2つはバブル崩壊後に切り離され、経営効率化ばかりが重視されるようになりましたが、働き方改革とはこの原理原則に立ち返るもの。この両輪を考えて動かないと働き方改革はうまくいかないし、この両輪をちゃんと考えている会社に人は集まるのです。」
これが、湯澤氏の示す働き方改革の本質です。

この本質に沿って働き方改革を推進するにあたり、実務者が実現しなければならないことは3つ。

  • ●どのようにして付加価値を高めるか
  • ●どのようにして業務の効率化を図るか
  • ●どのようにして人を大切にするのか

「最終的には、これらを限られた時間の中でどうやって実現していくのか、に尽きます。そのために、ITやテクノロジーの活用が必須といえるでしょう。」

第2部 リクルートキャリアはどのように「働き方改革」を実現させたのか

株式会社リクルートキャリア アドミニストレーション統括室 人事部 人事企画グループ マネジャー 岡祐也

「中長期視点での価値向上」を目指してスタート

第2部では、リクルートキャリアで成果を挙げた働き方改革の事例について、人事部の岡 祐也がご紹介しました。
働き方改革の対象は、リクルートエージェントのサービス部門。企業と求職者の間に立ってマッチングサービスを提供する部門です。採用成功実績を上げるためには、より多くの企業や求職者と会う必要がある、いわば『労働集約型』のビジネス。完全成功報酬型のサービスのため、サービスの品質を常に高めていく必要があります。
2~3年前の当時の事業は順調。従業員を増員しながら利益拡大を図る中、世間で働き方改革の波がやってきました。

「労働時間に余裕はなく、新しいサービス・価値の向上のために打ち手を考えられる状況ではありませんでした。また、人によって働き方にばらつきがあり、それがサービス品質のばらつきにもつながっていたのです。短期視点での法令順守は当然として、中長期視点で見ても、激化する競争の中で価値を向上させていくには変革が必要と考えました。」

目指す状態・目的を明確にした上で、トップ→組織長→現場へ落とし込む

岡は続けて、具体的な進め方に言及します。

「最初に実施したのは『経営者の本気度を引き出す』ことです。人事部門だけでは改革は成し得ない。そこで経営のためになぜ必要なのかを整理して経営陣に説明し、経営課題に組み込んでもらいました。ここで、労働時間の削減や法対応が目的ではなく、会社のビジョン実現が目的であることを明確にしたのです。そしてそれをトップメッセージとして、従業員が納得できる、わかりやすいワードに落とし込んで伝えました。」

つまり、「事業の状況・方向性」を踏まえて目的を設定し、経営者を巻き込みながら従業員にメッセージを発信していったのです。

働き方を可視化・分析し、メッセージを強化する

次に行ったのが、組織長向けの勉強会、メッセージの発信、そして労働時間の調査・分析です。

「組織長に対し、過少申告が起きないよう、実態通りに労働時間を申請させるよう意識づけました。そして、勤怠の未入力者や休日出勤者、週間/月間労働時間などをモニタリング。労働時間のトレンドを予測し、必要に応じてアラートを出します。状況をふまえ、組織長とメンバーが対話し、業務の整理も実施するようになりました。このように労働時間データを通し、現状の働き方の把握と問題点の分析を進めたのです。すると、無駄な作業が浮き彫りになったり、1人で大量の業務を抱え込んでいるメンバーの存在が明らかになったりする効果が現れました。こうして可視化されたデータを現場が意識するようになっただけでも、長時間労働の改善につながりました。」

データの分析結果をもとに、部門をまたいだ連携で働き方の最適化へ

「われわれ人事部門と、サービス部門の事業目標などを設計する企画部門と連携し、労働時間データの分析結果から、業務量の再設計を行いました。サービス部門との協議のうえ、メンバーの顧客構成や担当顧客数のバランスを見直しました。その際、派遣従業員などのサポートスタッフへの業務割り当てや人事異動・配属などの検討に、分析した労働時間データを活用しました。そして、再設計された業務量に合わせ、人事部門が目安労働時間やルールを設定。新基準での業務状況の可視化とアラートの基準を再構築しました。順守状況は、人事評価制度にも反映しています。目安時間を超過したメンバーは社内表彰の対象外としました。」

こうした施策の成果として、リクルートキャリアでは「労働時間超過者ゼロ」を実現。働き方のばらつきも大幅に改善されました。従業員満足度の向上、離職率の低下にもつながっています。当初の目的である「働き方改革によるサービスの向上」の意識は浸透し、現場主導での取り組みも進んでいます。
なお人事部門は次の取り組みに着手。「多様な強みを持った個の創出、活躍促進」を目指し、リモートワーク、フリーアドレス化、チャットコミュニケーションツール導入、IT/AI活用による定型業務の削減、育児/介護を両立する働き方、兼業/複業、ボランティアとの両立など、柔軟な働き方の実現に取り組んでいます。

「一度取り組んだら、一定の成果を挙げたところで終わりではない。『働き方改革』というビックワードに踊らされたり、本質を見失ったりせず、社会、法律、事業状況、従業員などを複合的に捉えながら、
本質的な取り組みを継続的に行っていく必要があると感じています。」

第3部 働き方改革を支援するHRTechツールとその活用法

株式会社リクルートキャリア エージェント事業本部
事業企画統括部 事業推進部 HRテクノロジー推進グループ 西平 玲

freee株式会社 ミッドマーケット事業部 戦略マーケティング 新村陸氏

第3部では、リクルートキャリアとfreeeが提供する、働き方改革支援ツールを紹介しました。

働き方改革関連法にも対応した勤怠管理ツール

リクルートキャリアの西平 玲が紹介するのが、『リクナビHRTech 勤怠管理』。1ユーザーあたり月300円で利用できる勤怠管理のクラウドサービスです。特徴は次のとおり。

  • ●直行直帰に便利なモバイル打刻(打刻位置情報を取得するGPS機能完備)
  • ●勤怠・休暇申請をすべて電子化(モバイル申請・承認可能)で管理工数削減
  • ●勤務状況のリアルタイム反映で、残業状況をいつでも把握可能
  • ●データは安心の5年間保存

また、以下の働き方改革関連法にも対応しています。

  • ●労働時間等設定改善法の改正(勤務間インターバルの努力義務化)
  • ●高度プロフェッショナル制度の創設
  • ●年10日以上の休暇を与えられる従業者に対して、5日以上の消化の義務化
  • ●時間外労働の上限規制が導入(限度時間や特別条項が法律に格上げ)
  • ●「月割増賃金率」の中小企業猶予措置廃止 ※2023年4月1日~適用
  • ●フレックスタイム制の清算期間見直し

「労務担当の皆さんは多くの課題に直面されています。残業時間の削減、休暇取得促進、多様な働き方への対応、働き方改革関連法への対応――。既存の業務もこなしながら、こうした新たな取り組みを進めていくには多大な労力と時間がかかります。『リクナビHRTech 勤怠管理』を活用いただくことで、既存の業務にかける手間と時間を軽減し、その分、重要なテーマに集中できるようになれば幸いです。」

「内製化」と「アウトソーシング」のいいトコ取りを

freeeの新村 陸氏も「HRの土台を整備することで、最新データを軸に分析を行い、より戦略的なHRに注力していただきたい」と語ります。

「人事労務の定型業務は、勤怠管理、情報収集・提供(給与明細など)、給与計算、保険・行政手続、給与振込、マイナンバー管理など多様。これらを遂行する手段には『アウトソース』と『内製化』がありますが、双方にメリット・デメリットがあります。アウトソースでは専門業務を外部に委託できますが、タイムラグが発生しやすいほか、社内とアウトソース先でマスタデータが分断され、データ活用がしづらく、業務効率が落ちるケースもあります。とはいえ内製化しようにも専門人材の採用は難しく、採用できても担当が1名だけでは属人化してしまう。また専門業務すべてを社内でカバーすることも難しいでしょう。」

freeeは、人事データベース構築から給与計算、申告まで一元管理が可能。クラウドにより、従業員・人事労務管理者・社会保険労務士が1カ所に集約されたデータを参照し、いつでもどこでもデータ活用、コラボレーションできるため、業務効率化につながります。

「内部で運用・管理しつつ、外部の専門人材も活用できます。常に定型データの最新化を図ることにより、人事評価・部門別労働生産性、ROIなどの非定型データとのコラボもしやすくなる。意思決定の高度化を実現できるツールです。」

こうして3部にわたるセミナーが終了。
参加者の皆様からは、「働き方改革に関して考えが変わりました。労務時間を削るのではなく効率的な働き方を考えていきたいです。」「自社の状況が今回のセミナーでお聞きしたことと重なったので、特に事例がとても参考になりました。」といった声をお寄せいただきました。

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