従業員のモチベーションを高め、かつ、期末の人事評価にも役立てることができる目標管理制度(MBO:Management By Objectives)。現在、多くの日本企業が導入していますが、「導入したけれど、成果が出ない」というケースや、「興味はあるけれど、そもそもどう運用していいのかわからない」という企業の人事担当者も少なくはないでしょう。

そこで、今回は目標管理に役立つ「人事評価シート」のテンプレートをご提供し、その内容や使い方まで詳しく解説します。職種別(営業職、人事・総務系の事務職、企画職、開発職)の4パターンを無料ダウンロードでき、記入サンプルも掲載!あなたの企業の目標管理に、早速、役立ててみませんか?

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【 人事評価シートサンプルを無料でダウンロード】営業・人事総務・企画・開発の4職種に対応

まずは、「営業」、「人事・総務などの事務職」、「企画職」、「エンジニアなどの開発職」における一般社員に向けた人事評価シートの無料ダウンロードリンクをご提供します。こちらは、リクルート社の目標管理制度をベースに、効果的な目標管理制度の運用を目的に作成した人事評価シートです。下記よりそれぞれをダウンロードください。また、詳しい記入方法や運用方法を知りたい方は、続く「人事評価シートの記入サンプルと運用のポイント」をご覧ください。

●人事評価シートサンプル ダウンロードリンク(Excel形式)

人事評価シート、どう使えばいい? 記入サンプルと運用のポイントを解説!

それでは、人事評価シートの記入サンプルをもとに、どの項目に、いつ誰がどんな内容を書き込めばいいのかなど、基本的な使い方を解説していきます。ポイントに沿って記入することで、目標設定はもちろん、期末の考課面談での評価もしやすくなるメリットがあります。また、ここでは営業職の人事評価シートサンプルをベースに解説をしますが、事務職系や企画・開発職系における注意点も合わせてご説明します。

●人事評価シートの記入イメージ

人事評価シートの記入イメージ

それぞれの項目をどう使うかは下記の解説をご覧ください。

1. 「メッセージ」の欄(画像①)

この欄には、人事担当者が全社員に向けたメッセージを記入することができます。「いつまでにメンバーが記入し、どのタイミングで上司とのすり合わせを行い、内容を確定するのか」など、提出締め切りのアナウンスを書いておきましょう。メンバー、上長、人事担当者など、全社員に共有することができます。

[Point]
「会社として大事にしたいこと」を書き込むこともお勧めです。通常、社員が企業ホームページなどに書かれている理念やビジョン・ミッションを目にする機会はそれほどないものです。しかし、ここに書いておくことで、会社の考え方とメンバー個人の目標、さらに評価された内容を見比べて、「会社の一員として大事にすべきこと」に立ち返ることができます。

2. 「全体目標」の欄(画像②)

主に、メンバーとその上長が目標のすり合わせをするときに使う欄です。会社全体の目標や、事業部全体の目標と、メンバー個人の目標をすり合わせるための欄として活用できます。それぞれを並べて書くことにより、メンバーも上長も、双方の方向性が合っているかどうかを確認できます。

[Point]
他の部署の上長や、全体を見る人事担当者などにもこのシートを共有すれば、各部署が何を目標としているのかがわかり、全体の目標のすり合わせや、抜け漏れの確認などにも活用できます。

3. 「評価軸」「割合」の欄(画像③)

②と同様に、メンバーとその上長が目標のすり合わせをするときに使う欄です。メンバーに対し、「具体的にどんなことを目標内容とするか」を示します。また、期末に上長が評価する際の軸とするために、2つの評価軸を定めることができます。「評価軸1」「評価軸2」と、二つの欄があるので、それぞれ対象職種に合わせ、「成果」「行動」「スキル」「情意(意欲・積極性)」の中から評価軸を定めましょう。評価軸を2つとしている点には、「目標軸を増やしすぎないことで、目標を評価期間中何に集中するべきかを明確にする」という目的があります。

また、「割合」の欄では、それぞれの評価軸が「全体の目標と評価において、どの程度の割合を占めるものなのか」を定めることができます。例えば、「成果」と「行動」を評価軸とし、それぞれの「割合」を70%と30%に定めた場合、メンバーには、「評価において、“成果”を軸とした具体目標の達成度合いは7割程度を占める。一方、“行動”を軸とした具体目標の達成度合は3割を占める」と説明しましょう。そうすることで、メンバーにも注力すべきことがわかりやすくなり、具体的な目標を定める参考とできます。例えば営業職の場合は、仕事の内容が売り上げなどに直結するので、「成果」を軸とし、定量目標の割合を大きくするといいでしょう。

[Point]
等級が低いメンバーの場合は、自由に動ける裁量が小さく、数字などにおける責任範囲も小さいため、「行動」の割合を大きくすることで、具体的な目標を定めやすくなります。逆に、等級が高いメンバーは、「成果」の割合を大きくするといいでしょう。

また、組織の文化や成長度合いなどにもよりますが、個人をより支援する場合は「成長目標」に落とし込めるような軸を定め、組織としての文化を個々に反映していく場合は「行動目標」に落とし込めるような軸にするといいでしょう。
上長とメンバーで目標設定をしているイメージ

4. 「目標」「プロセス詳細」の欄(画像④)

②③と同様に、メンバーとその上長が目標のすり合わせをするときに使う欄です。各メンバーが具体的な「目標」と、それを達成するための「プロセス・詳細」について書き込みます。評価軸1と2に定めた「成果目標」「行動目標」に対し、3つの具体的目標を立て、それぞれを達成するためにどんなことを行うのかというプロセスを書くようにします。

例えば、「成果目標」において、「既存担当顧客売上1600万円の維持」という具体的目標を定めた場合、達成に向かうプロセスについて「1. 担当20社訪問・導入状況ヒヤリング(隔月に1回)」「2. 失注可能性の高い、サポート必要顧客を特定(5月中)」など、その流れや回数、期日などをより具体的に書くようにさせましょう。これにより、メンバーは自分が定めた目標に対して、やるべきことが見えやすくなります。

[Point]
高過ぎる目標も、低過ぎる目標もNGです。上長は、メンバーと一緒に目標のすり合わせを行う際、個々の能力や性格、弱みと強み、キャリア志向なども踏まえた上で、各自がモチベーションを高め、成長できるような目標とすることを意識しましょう。

また、評価の正当性を高めるためにも、「プロセス・詳細」はできる限り具体的なものとしましょう。

5. 「ウェイト」「達成基準」の欄(画像⑤)

主に、メンバーとその上長が目標のすり合わせをするときに、評価基準を明確にしておくために使う欄です。それぞれの具体的な目標に対し、どの程度のウェイトを置くのかを定めます。また、5段階評価による達成基準もしっかりと定めましょう。「成果」「スキル」を軸とした場合には、数字目標の達成や資格取得など、クリアする基準を設定しやすいものですが、「行動」「情意」については、何を持って達成したのかをより明確にすることが重要です。

[Point]
期末の評価に関連してくるため、メンバーと上長でしっかりと話し合い、納得のいくウェイトと達成基準を設定しましょう。

6. 全体ですり合わせて目標を確定させる

メンバーとその上長の間で目標がすり合ったら、各組織の上長・人事担当者・経営層で目標をすり合わせる場を作ると良いでしょう。全体目標や部署の目標とのすり合わせを行い、問題なければ各メンバーの目標を確定とします。

[Point]
できれば、人事担当者や各組織の上長が全員で集まる場を作り、部署ごとの目標を比較し、どこか一部に負荷がかかり過ぎていないかなど、全体のバランスを確認することが大事です。

特に、数字目標のばらつきなどがある場合、不公平感を生むことになるため、その場で最終決定を下す前に、目標の難易度や妥当性について話し合い、納得した状態にしておきましょう。

7. 「自己評価」「振り返り」の欄(画像⑦)

主に、メンバーとその上長が期末のタイミングで上長と評価面談をするときに使う欄です。この欄では、メンバー自身がそれぞれの具体的目標の達成度合いを評価します。達成基準をもとに振り返りを行いながら、反省点、改善点も書き込ませましょう。

8. 「上長評価」「上長コメント」の欄(画像⑧)

⑦でメンバーの記入が終わった後に、上長がそのメンバーの評価を記すための欄です。面談の際には、メンバーだけでなく、上長も5段階で評価します。また、「上長コメント」の欄では、評価できる点や今後の課題、期待することについて書き込むことがポイントです。

[Point]
数値の振り分けがあると、高い評価より、低い評価に目が行きがちになるものです。しかし、それぞれの目標について、具体的な達成基準をもとにした正当に評価を行うことで、メンバーは公平感・納得感を得ることができます。

9. 総合評価を計算し、期末の評価に活用(画像⑨)

評価軸におけるパーセンテージと各目標のウェイト、メンバーと上長の評価をもとにした達成度合いを掛け合わせてそれぞれの点数を計算し、その合計を最終的な目標達成値とします。

[Point]
一つ一つ計算するには手間がかかる上、ミスも発生しやすいものです。業務効率アップと、適正な評価を行うために、自動計算で総合評価を出せる評価管理システムを活用するといいでしょう。

営業職以外の3職種における注意点

企画職の場合

定量的な目標を追うことが難しいため、「行動」を軸にした目標に重点を置くといいでしょう。どのような行動をすれば、目標をクリアできるのか、達成されたと見なされるのか、その基準をクリアにすることが大事です。また、目標管理の期中に業務内容が変動することもあるため、新たなプロジェクトが発生する場合には、具体的目標の設定を変更するといいでしょう。

「企画職」向け人事評価シートサンプル(Excel形式)

人事・総務などの事務職の場合

人事・総務・広報・一般事務などの場合も、目標を数値に置くことが難しいため、達成基準をより明確にしましょう。「その業務を、どのくらい一人で担当したのか」「プラスアルファの効果をもたらすことができたのか」なども、達成基準に盛り込むといいでしょう。また、一般事務などの場合は、無理矢理にストレッチ目標を設定するより、滞りなく業務を遂行していることを達成基準にしましょう。とはいえ、ミスで減点する方式では、モチベーションが下がってしまうため、「効率化やコスト削減の提案をした」など、加点方式の達成基準も設けることがポイントです。

「人事・総務などの事務職」向け人事評価シートサンプル(Excel形式)

開発職の場合

開発職の場合、スキルや成果を軸にするといいでしょう。例えば、ITエンジニアなら、専門スキルを得るための資格取得、実際に手がけた開発における成果などが挙げられます。また、業務そのものも2つの系統に分かれるといえますが、「新たな機能などを開発する業務」であれば、納期を守れたかどうかなどを達成基準に盛り込むといいでしょう。一方、「既存のものを運用する業務」であれば、バグやエラーの回数なども達成基準となります。

「開発職」向け人事評価シートサンプル(Excel形式)

人事評価シートを活用するメリットとは?メンバー・人事・経営層・上長…立場別のメリット一覧

人事評価シートを活用することには、メンバー、人事担当者、経営層、それぞれに大きなメリットがあります。一方、現場を管理する上長からは「新たな仕組みに時間を割くこと」を否定的に捉え、反発される可能性もあります。しかし、人事評価シートは、上長にとっても大きなメリットをもたらすものなので、しっかりとそれを伝え、理解を深めることが大事です。

メンバーの人事評価シートを見ながら、目標や評価について話し合っているイメージ

メンバーのメリット

達成すべき目標がわかりやすくなり、「何をどれだけ頑張れば評価を得られるのか」を理解できるため、モチベーションを高めることができます。また、正当性の高い評価を下すことができるため、メンバーの納得感を高めることができます。

人事担当者のメリット

事前に評価基準を明確に定めることで、期末の人事評価において、より納得感のある人事評価ができます。また、評価管理システムを活用し、リアルタイムでシートを共有すれば、個々の進捗確認も手軽に行えます。さらに、システム上で一元管理することにより、それぞれの過去の評価内容を振り返ることができます。

データを蓄積しておくことで、どのメンバーがどんな領域で活躍していたのかを一目で把握できるため、異動や昇給・昇格などの人事に活かせることはもちろん、採用活動にあたって、入社後活躍が予見される人材像を絞り込むことができます

経営層のメリット

会社が成長し、メンバーが増えた際には、企業としての目標を共有することも、メンバーの行動を管理することも難しくなるものです。評価管理シートを活用することで、それらが可能になり、また、目に見えない仕事のパフォーマンスを正当に評価することができるようになります。

評価管理をしっかり行う土台を整えることは、業績アップや業務改善、さらには人材の定着率のアップなどにもつながるのです。

現場の管理職・上長に伝えるべきメリット

  • メンバーが何をしているのかが明確になり、業務に抜け漏れがなくなる
  • メンバーのモチベーション管理と行動管理に役立つ
  • 目標をきちんと立てることで、上長の指示やアドバイスに対し、メンバーの納得感が高まる
  • チームや事業部として達成したことなど、成果を伝えやすくなる
  • 過去のシートを振り返ることで、メンバーの成長変化がわかり、育成方針を立てやすくなる
取材・文/上野真理子

リクナビHRTechの評価管理システムでは、ここまでに紹介した人事評価シートのテンプレートを、システム上で一元管理できる仕組みになっています。全社員に共有できるため、人事担当者も進捗確認がしやすく、また、評価内容をデータでダウンロードすることもできるため、評価管理に必要な工数を削減することができます。社員のモチベーションを高め、業務効率をアップし、適正な人材配置などにも役立ちます。しかも、無料で利用できるので、この機会に、あなたの会社の評価管理の基盤を整備してみませんか?